物語を抱えた白い旋律
🎩 イントロで高まるリズム
0:30からドラムフィルが入り、スネアのリムショットでリズムが刻まれ始める。
このバスドラムのテンポとアクセントが、スピード感を与えつつ丁寧に展開していく。
「いつもと違うアクセントの付け方」には、不安定さと躍動感が同居している気がする。
リズムを失いかける瞬間や、変わりたい気持ちと変われない現実が交錯する感覚が浮かんでくる。
まるで、規則的でありながら不確実さを内包した人生そのものに思える。
規則的でありながら不確実さを内包した、まるで人生そのもの。
静かに刻むビートが心の奥底を揺さぶり、次の展開へと引き込んでいく。

人生って、テンポ通りには進まないもんよな……。
ろろん、なんか泣きそうになったもん…
🎩 Aメロの静かな切なさ
Aメロでは、歌とギターのセッションがとても印象的。
若井のギターはミュートが効いた控えめな音で、大森の歌声を引き立てている。
今日も人々は 仕事で疲れてる
思いを寄せた人を思い出してる
日々の生活に埋もれ、誰もが感じる「心の疲れ」を自然と想像させられる。
仕事に追われ、誰かを想いながらもその想いが届かない。
大森の歌詞には、そんな「擦り切れそうな心」が滲み出ており、ギターの控えめな音色と共鳴して、この切なさが一層深く響く。

ぷちも、ちょっとだけ……しずかに疲れちゃう日があるっぷち。
この歌……ひとりごとが、ぷちっと聞こえた…
🎩 つながりへの思い
1:25からのBメロでは、楽曲に深みを加えるようにアクセントが一層重みを増す。
スネアとベースが組み合わさり、緊張感のあるリズムに仕上げていく。
ドラムフィルの使い方が絶妙で、スピード感を保ちながら聴く側をこの世界に引き込んでくる
いつの日か誰かが 手を伸ばしてくれる そう信じてた
このフレーズには、大森が曲に込めた「つながりたい」という深い願いが透けて見える。
いつか手を差し伸べてくれるかもしれないと信じつつも、どこか冷めた孤独を抱えたまま、誰にも届かない場所にいるような自分。 手を差し伸べてほしいという願いを隠し持ちながら、それを叶えるすべもない。
旋律とともにその複雑な感情と憤りが流れ込んでくる。
🎩 Cメロ:心の叫び
Cメロでは、優雅なリズムが生まれ、心地よく大きく空間が広がっていく。
その中でスネアのフィルはリズムを緩ませることなく、引き締まった空気を保っている。
僕も本当は大声で助けてと言いたいけど
奥底では叫びたい気持ちを抱えながら口に出さない自分。
助けを求めることは弱さだと、あえて本音を抱え込んだ姿が浮かぶ。
大森が描いているのは、「強くあろうとする自分」と「助けを求めたい自分」の間で揺れる感情。
誰しもが一度は経験する葛藤がより深く押し寄せる音だ。
🎩 仮面の葛藤
嫌われたくはないから
人とのつながりを求めながらも、心を閉ざさざるを得ない孤独。
守るために仮面をかぶり、仮面によって見せることができない葛藤。
その仮面が誰も自分に触れることができない壁になっている矛盾。
このままじゃいけないことはわかっているという言葉には、そんな自分を変えたいジレンマが見える。
2:08から入るフィルのアクセントが裏から響き渡り、空気が一気に変わる。
このフィルによって、次のドアへと引き込まれる感覚が強くなっている。
🎩 高揚感と進行のDメロ
2:11から始まるDメロでは、4分打ちのバスドラムと8分のベースがスピード感を一層高め、リズムに乗ることで圧倒的な高揚感を生み出す。
繰り返す 間違いの狭間で揺れる
過去の過ちにとらわれ、どうしようもなく揺れ動く自分。
それでも前に進もうとする心の葛藤と決意。
ここで生まれる高揚感は、再び立ち上がろうとする意志を感じさせる。このリズムが、聴く側にも熱を与えてくれる。
リズムが聴く側に熱を煽り「歩み続けることの意義」を伝えようとしているかのようだ。
🎩 音に込められた思い
1曲目から問答無用でリスナーを引き込む力を感る曲である。
大森元貴が描いたのは、苦しみや悲しみだけではないのかもしれない。
心の奥底に秘めた感情と相反する現実。
そんな葛藤を一音一音に託して歌っている。
歌という声に、本音という音を乗せた楽曲だ。
実際に3度映画館へ足を運び、この世界に浸った。
「The White Lounge」が真っ白なラウンジに響き渡るたびに、静かな葛藤や心の叫びが伝わってくる。
そんな中でも、前に進もうとする力を感じた。
一音一音に込められた思いが深く胸に響き、次に続く扉が、さらにどんな世界を見せてくれるのか期待せずにはいられない。
「The White Lounge」の世界を表現するために生み出された、最高の曲である。

しずかな音にも、あつい気持ちが入ってる…
🎩 楽曲を超えた存在として
そもそもこの曲が単なる「楽曲」として存在することに本質的な意味があるのだろうかと、疑問を感じる。
「The White Lounge」という楽曲は、同名音楽劇の舞台「The White Lounge」の導入であり、9つのオムニバスを繋ぐ重要な役割を担っている。
まるで、分厚い書籍の中で、どのページに挟んでも違和感のない栞のような存在だ。
そう考えると、この曲に対してあれこれ思考を巡らせるよりも、目や耳、五感を通してただ「The White Lounge」の世界そのものに浸ることが、最も重要であり、この曲の真価を感じる方法なのかもしれない。
🎩 独り達の共鳴
ドアを開けたら 何かがかわるのか
誰もが怯えて過ごしてる 白い 部屋には独り達
この言葉には「変わりたい」という願望と、「変わることへの恐怖」が込められている。
大森元貴の内面がほんの少し顔を出しているように感じる。
この問いがリスナーをその問いの中に引き込み、共鳴させるのは独り達。
仕掛けがここにあるようだ。

ラウンジに響いたのは、まるたちに投げられた“問い”やったんかもな…
いっぱいいたけど、ほんまは独りやもん。
独りに一本づつの糸を渡してくれたんやで。
人間には見えへん糸やけど、ろろんには見えるもん。
A magical record drawn from a captured moment.
『The White Lounge』 ― リリース音源
Mrs. GREEN APPLE
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