【ライラック】ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~より

On January 12, the release of 『lulu.』🍃

ライラック

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(出典:@MrsGREENAPPLE_Official)

【ライラック 】― ゼンジン未到とヴェルトラウム〜銘銘編〜 より
考察者:なもさん / 校正:まるたち
なもさんは、演奏やリズム、音響バランスなど、音楽の“音”そのものから楽曲を深く味わうことを得意とする考察者です。
この記事は、レビューや感想を重ねながら作品を読み解き、自身の演奏経験や音響的な観察力を活かして、楽曲の「鳴り」の世界を独自の視点で記した作品論です。

「ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~(2024年7月)」のライブ映像からの記録


2つの青春を駆ける
時を経て得た「青」の音

🪻 風が運ぶ合図

疾走感あふれる8ビート。
美しく響くのは、藤澤の鍵盤の音色。
ドラムはリムショットを中心に、その旋律に寄り添いながら絡み合う。

前奏で風がふわ〜って駆けてくる感じ…
なんか…春やけど、ちょっとさびしいやつや…

ぷちは風より…花粉のが気になるぷち
…ぶるっ…

春先のまだすこし寒さののこる風が駆けるような前奏が流れ始める。

大森が声を放つ
それは合図のように。
その瞬間、ドラムのフィルが駆け抜ける。
「どの曲が始まるのか」
そんな高鳴りが、静かに広がっていく。

ここや!ぜったいここが、はじまりの合図や!

紫の灯りに包まれた若井に、スポットが落ちる。
ステージ全体は青一色。

あのギターフレーズが響く。

きた!ライラック!

きたきたきたきた!
ライラックやああああ!!

🪻 閃くライラックの扉

モニターに映し出される若井の姿。
ライラックと言えばこのイントロ。
誰もが頷くフレーズを爽快に魅せるクールな若井の姿。
「むちゃくちゃかっこいい」
今この言葉が一番似合うギタリストだ。

最初の一音で空気が変わる。
テンションがいきなり跳ね上がり、思わず声がもれる。
それは会場も同じだ。

🪻 一斉にざわめく

誰もがそのギターを、食い入るように聴いている。
心臓の音が、ギターの邪魔をするくらいに高鳴る。

一瞬の隙を突くように、大森が放つ。
この瞬間を待っていた。

破裂音のように音の世界をひらき爆裂するイントロ。
青い照明の中、フラッシュが無数に閃く。
疾走感のあるリズムが、こちらに向かって突き刺さる。

なんだこの音のちらばりかたは…
このギターフレーズを初めて聴いたとき、呆気にとられたのを思い出す。
けれど今では、このフレーズなしには語れない。
聴けば聴くほど、その深みに引き込まれていく。
冒頭から容赦ないライラックの魔法を浴びていたようだ。

🪻 軸を描く

バスドラムとスネアドラムのコンビネーションが、くっきりと輪郭を描くように鳴り響く。
スネアドラムを強調するギターが絡みつくように切り込むリズム。

ベースはシンプルなフレーズながら、芯のある音でドラムと寄り添い、ユニゾンする。
そのリズムに乗って、藤澤・若井・大森の音が交錯する。
音と音が絡まりあい、ベースとドラムのグルーヴが舞う。
確かな軸を感じながら、軽快で華やかな世界に引きずりこまれていく。

🪻 物語の展開

過ぎてゆくんだ今日も
バスドラムを4分で一定に踏み込むリズム。
ギターとベースは、そのリズムに合わせて、歌のアクセントをなぞるように。
藤澤は両手を高く掲げ、客席に手拍子を煽る。
言葉と音が寄り添いながら進むと、若井のギターが吠える。

思い出の宝庫から広がるのは、スネアドラムを軸にしたリズム。
自然と体が揺れていく。

古いものは棚の奥に
に乗せた小さなアクセントが、印象的に響き、曲が広る。

するとドラムの三連フィルが、場面を一気に切り替える。 新たな章の扉がひらく予感だ。

🪻 葛藤の章

By my side~
バスドラムをトリプルで踏み込む。
4拍目のアクセントが際立つ一瞬の空白。
この一瞬の空白が、フレーズ全体を重く、沈み込むような印象へと変えていく。

若井のギターが刻む音も重く沈み込むように。
藤澤のバッキング、そしてベースの重音も増している。

照明は青と赤が入り混じり、アクセントのたびに光が脈打つ。
ステージからは「何か言いたいのに言えない」そんなもどかしさが溢れてくる。

これはまさにグワングワンな感情。
爽やかな風を遮るような重苦しい空気は、歌詞にも表れている。
爽やかな青ではない。
ここは葛藤の章である。

…グワングワンしすぎてちょっと酔ったかもぷち……

三番ホーム準急電車
大森の歌からバトンを受け取るように、タムからのフィルが差し込まれ、次の場面へ切り替わる瞬間を見せる。
知らぬ間に、ではなく、次が本番とでもいうように場面が動く。

🪻 すっぱい青

春のすっぱい青…ぷち、あの色すきぷち。

青に似た、すっぱい春とライラック
ワクワクを膨らませたサビ。
澄んだ青ではないが、さわやかな風を呼ぶ不思議な青の景色。

スネアドラムが際立ち、バスドラムはダブルで踏み込んで、前のめりにリズムが曲を引っ張っていく。
そのスネアドラムは、ほんのわずかにジャストよりも前。
狙ったように配置された一打が、曲全体のノリを生み出している。
巧の技が、さりげなく光り、青いフィルター越しにキラキラとした景色を見ているようだ。

何を経て 何を得て ここで入る四拍目のアクセントが、大人になってゆくんだろうという言葉を、自然に心に届けてくる。
四拍目のアクセントは直前の大人にの部分にも。

この繰り返されるアクセントの位置とリズムはBy my side 不安喝采連帯〜このBメロとまったく同じ構造のように思う。

違う場面に聞こえるBメロとCメロ。
このリズムのリンクは、両者に共通する何かを浮かび上がらせているのではないか。
「葛藤の章」と感じたBメロ、キラキラとした不思議な青を感じたサビ。
異なる場面でありながら、演奏はまるで同じ感情を抱えているようだ。

By my side~バックの演奏のアクセントにメロディをリンクさせている。
とても興味深い部分だ。

🪻 鋭く流れる音

若井のギターが、物語の中心に立つ。
そのメインフレーズを合図に、場面は鮮やかに切り替わる。

大森、藤澤、ドラム、ベース、それぞれの音が、若井の旋律に絡みつくように紡がれていく音のバトン。
息をつく間もないほど、緊張感が張り詰める。

この一瞬は、鋭利な時間。
照明も惜しみなく音と光がシンクロする刹那。
感情が駆け抜けていくようだ。

🪻 構築と再構築

一回だけのチャンスを
ここから再びAメロへ。
だが、1回目とは違う。
メロディは4拍目にアクセントを置き、より強く響く。

主人公の候補
歌詞に合わせるように、楽器全体が4拍目にアクセントを揃える。
連動している何かがある。
音と言葉がリンクし、再構築されたグルーヴが新たな物語を生み出していく。

光が痛い希望なんか嫌い
炸裂するドラムフィルの応酬がグルーヴを作り出す。
歌に完璧にシンクロしながら、次第にリズムが熱を帯びていく。
歌のアクセントに完璧に合わせたフィルが駆け抜けるその瞬間、曲全体がヒートアップする。

そして構築された音の世界が再び息を吹き返す。
もう一度最初に戻って聴き始めたいような、もっと先へ進みたいような不思議な躍動感を感じる。

🪻 心のうねり

Bメロ1では片手を上下させていた振りが、今度は両手を使って表現している。
ただのステージパフォーマンスかもしれないが、伝えることがだんだん深くなってきているのだと感じる。
言葉の深みとともに、音もその熱を増している。

4拍目にアクセントを置きながら、ワサワサする胸と歌い上げる。
キメのフレーズで音を断ち切るように、内に秘めた想いを刻み込む。
ベースも「ブーン」と唸るようなスライド音で重なる。

グワングワンは不安や迷い。
ワサワサはもどかしさと疎ましさ。

言葉と音が渦を巻きながら、心情をかたちづくっていく。
簡単に見えて簡単に説明がつかないやり場のない気持ちがすっと胸に入る。
絶妙な言葉選びだ。
絡まる音がこの心情を物語る。
そこに「あーあーー」という叫び。
感情がひとつ、外に向かって解き放たれる。

🪻 グルーヴ

当初からギターに注目されている『ライラック』。
苦戦したというものの、クールに弾きこなす若井のプレイは見ごたえ抜群だ。
この場面でも、若井のギターが物語を描ききっている。

そんな若井の旋律に絡みつくドラムフィル。
ドラムの音がギターを引き立てる存在として立ち上がってくる。
ハイハットをシャープに閉じる一音が鋭く響き、空間を引き締める。
この音が、語彙力を失うほど、ただただかっこいい。
休符を巧みに操り、ギターの存在感を際立たせるその演奏は、まさに圧巻だ。

そこへベースが加わる。
最初はバスドラムのアクセントに寄り添うように思えたその音は、次の瞬間にはギターとユニゾンしながら包み込むような低音を響かせる。
大森のバッキング、藤澤の鍵盤。
すべての音が若井のギターを中心に束ねられていく。

物語を描く中心のギター、それを支えながら場面をキメるドラム、背景のように寄り添いながら主旋律と手を組むベース、それらを束ねる大森と藤澤。
それぞれが音で語り合う、そんな瞬間に満ちている

🪻 架け橋

そして、ふと映る藤澤の後ろ姿。
編み込まれた髪がステージの光を浴びて輝く。

ミセスのステージを見ていると、いつも思う。
プレイヤーとしてだけではないポジション。
会場を見渡しながら、演奏と空間とファンすべてをつなぐ架け橋としての存在。
それは、もしかすると自分にしか見えていないことなのかもしれない。
でも、そう感じずにはいられない。
藤澤がいることで、ステージにはどこか安心できる空気が流れている気がする。

ぷちも涼架まるみたいな大妖精になるのが夢…ぷち

🪻 暴れる鼓動

影が痛い価値なんかない
刻まれるリズムは、まるで希望を踏みつぶすような絶望のビート。

光が痛い希望なんか嫌い
そして、ドラムが暴れだす。
スネアを中心にタムが絡み合い、フレーズがどんどん攻めてくる。
音量も巧みに変化しながら、危機が迫ってくるような焦燥感を感じる。

藤澤も、鍵盤で音を刻み、リズムに一層の鋭さを加える。
照明がそのリズムに合わせて脈打つ。

🪻 ブレイクからのバトン

ブレイクが入る。
大森の声とギターだけが、空気を動かす。
不安だらけの日々でも愛してみるから感じたことのないクソみたいな敗北感もへ。
ドラムのビートが突き進み、藤澤の旋律がベースへ流れ、若井のギターが大森の音と絡み合う。
バトンが渡される瞬間、藤澤が片手をあげる。
迷いを脱する瞬間が訪れる、そんな気配が広がる。

🪻 ラストスパート

鼓動が揺らすこの大地とハイタッチ
このフレーズが響き渡る瞬間、テンションは一気にMAXに達する。

何のために、誰のために 傷を増やしてゆくんだろう
意味のないことはないと信じて進もうか
答えがないことばかりだからこそ愛そうとも
このフレーズの箇所では同じように4拍目にアクセントが重ねられている。
だからこそ愛そうとものフレーズが耳に響いた瞬間、言葉が音とともに心に突き刺さり、身体中に伝わる。
真っすぐに届けられた温かい安堵のような感覚が瞼の奥をじんわりと刺激する。

…タオルくださいぷち…

あの頃の青を覚えていようぜ
藤澤と若井の歌声が重なり、絶頂を迎える。
三人がバックモニターに映し出され、その光景が胸を打つ。
大森は腕を回し、一瞬「魚屋元貴」を魅せる。
その一コマが、場面の息抜きとなり、一瞬のユーモアがあふれる。
ファンを喜ばす小さなご褒美が散りばめられたステージ。
どこを切り取ってもミセスだ。

🪻 愛せている

アクセントのある部分がバトンでつながり、伝えたい言葉がその音とともにひとつに集まる。
愛せている
この曲はこのひとことに尽きる。
この言葉を伝えるために、このギターのフレーズが生まれたのかもしれない。

青々としてキラキラした青春から時間を経て、何かを得てまた何かを失いながら進む中で感じる不安や葛藤。
それでも、そんな中でもこうでありたい。

若井のギターでエンディングを迎える。
一曲の中で多彩なグルーブの変化が、音をバトンでつないでハイタッチ。

青春の青よりも少し大人びた優しく味わい深いライラックの色。
いろんな表情を見せるこの楽曲、そのすべてが最高だ。

🪻 切実な嘘と青い夢

キラキラと散らばる若井のギターフレーズは、まさに青春を追いかけ、思いを馳せるような音。
何度も繰り返し聴いていると、音の中に青い風が吹いているような感覚が生まれていた。
このギターが語るのはあの頃の夢と心の中で生き続けている「青」なのだろう。

しかし、最後の愛せているという言葉は、どこか大人になった自分の切実な嘘のようにも感じる。
「嘘」というと冷たく響くけれど、それは本当の青い青春が描いた夢に似ている。

🪻 ライラック色に込めた願い

あの頃の「青」が時を経て得た「ライラック」。
どこか懐かしく優しいその色が今の自分を包み込んでくれるようだ。

あの青、まだ…ぷちの中にもある気がするぷち。

この曲のなかでずっと待っていた答えはこのタイトルそのもの。
青い春はライラックの色に変化し、愛せていると願いを込める。
時代を駆け、優しいフィルターに包み込みながら、また今を輝かせてくれる曲である。

A magical record drawn from a captured moment.
『ライラック』 ― ゼンジン未到とヴェルトラウム〜銘銘編〜
Mrs. GREEN APPLE
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【ぷちの観察日記】
魔法録のURLが、まるたちの知らないXアカウントのプロフィールに記載されているみたいぷち…。
魔法録のアカウントは @rolon_pichi だけぷち。
ほかは魔法録とは関係ないぷち。ぷち、しらんぷち。
あやしい風に、気をつけてぷち。(ぷちより)
    🍃 これまでの観察日記は妖精のあしあとにあるぷち。
まる
《ライラック》の考察、楽しんでもらえたもん?
もっと旅したいなら森の秘密基地 でほかの音の景色を探してだもん。

迷ったら、魔法の地図 をひらいて、道を探してみるといいもん🌿
魔法の地図