【soFt-dRink 】Mrs. GREEN APPLE on Harmony 2024 より

On January 12, the release of 『lulu.』🍃

soFt-dRink

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(出典:@MrsGREENAPPLE_Official)

【soFt-dRink 】― Harmony 2024 より
考察者:なもさん / 校正:まるたち
なもさんは、演奏やリズム、音響バランスなど、音楽の“音”そのものから楽曲を深く味わうことを得意とする考察者です。
この記事は、レビューや感想を重ねながら作品を読み解き、自身の演奏経験や音響的な観察力を活かして、楽曲の「鳴り」の世界を独自の視点で記した作品論です。


透明なグラスに満ちる音

🍷 浮遊するリズム


静かな空気の中、前奏が流れ出す。
ドラムフィルが入る。タムを交えた、はじまりにちょうどいいフィルだ。
この空気をかき混ぜるようなその音にすっと引き込まれる。

ベースもシンプルに8分で刻み出す。
バスドラは16分を織り交ぜ、浮遊感漂うリズムを描く。
空間がやわらかく揺れているような、そんな感じがする。

若井がリズムの上でこの揺らぎを楽しむように、音を奏でている。
さぁ、どんな物語が始まるのだろう。

🍷 魔法の書


ステージには、黒いスーツを身にまとった3人の姿。
大森、若井、藤澤。
それぞれが静かに立つその場所には、植物たちがそっと息づいている。
電球色のランプが、ほんのりとしたあたたかさを灯し、薄暗いステージを包み込む。

ブレイクの後、大森が歌い出す。
めがねとゆるめに締められたネクタイ。
一見ラフでリラックスした空気が漂うHarmonyのステージだ。

どこもおかしくはないよ~
大森は片手で本を取り上げる。
深い緑色の表紙にはミセスのロゴ、そしてHarmonyの文字が刻まれている。
魔法の書にも見え想像がふくらむ。
きっと我々の心に響く呪文が詰め込まれているのだろう。
そして、この公演が終わるころ、我々はこの日の魔法を味わっているのだろう。

なにもおかしくはないよ~
すでに、本を読みながら呪文を唱えているではないか。
大森の発する声はすでに魔法に満ちている。
ベースはタンタンと音を刻みながら、その呪文に寄り添うように支えている。
時折、ふわりと現れる高い音のフレーズが、まるで誰かの頬をなでる風のようにやさしくて、心地いい。

あの本…ぜったい中身、光ってるぷち…!!

うん…ひらいたら、みえたもん!!!!
っていうか、あれ、魔法録ちゃうん!?

🍷 歌の魔力


大森は優しく歌っているように聞こえるが、音程の抑揚がすごく感じられる。
その歌声は、空気を抱きしめるように広がっていく。
そこにはないはずの別の奥行で妖精たちに語りかけるように。

よ、妖精ってまるたちこと?!
元貴まる~!!ちゃんと聴こえてたもぉぉん!!

若井は大森を見ながらギターを弾く。
一発だけ音を入れてくる、その“ひとしずく”が静けさに波紋を描く。
その音に、思わず酔いしれてしまう。
若井の赤い髪に照明があたり鮮やかに発色するのも、美しい波紋のようだ。
大森は、本を手にしたまま徐々に歌に力を与えてきている。
やはり魔法が刻まれているのか。

ぷちが書いた落書き見てたのかもぷち。

🍷 メロディ


泡の様に脆く全ては去って 甘味の様に時には笑ったって~
高音から入ってくるメロディ。
優しいのに、いきなり胸を突かれる衝撃。
このメロディは、強く心に刺さる。

ドラムがシンプルにリズムを刻む。
その隙間で、ベースがこのメロディに合わせて動き出す。
歌・ドラム・ベースの組み合わせだけで、ぐっとくる印象的な部分。
このメロディが持つ音の力を感じる。
そして、ここに若井、藤澤の音があってこそ魔法が完成するのである。

いつかは酸化して~
大森は本を閉じて、胸にそっと抱きかかえる。
その姿が、まるで秘密を守るようにも見える。

「soFt-dRink」は、その余韻まで聴かせてくる楽曲のひとつ。
心を震わせて、感情を波立たせて、まるで炭酸のように、感情を刺激する。

ドラムのリズムが、バスドラを強調したシンプルなフレーズに変わる。
その空白に、空気が静かに震える中、管楽器隊の気持ちのいい音が歌に絡みつく。
それと同時に、見事に重なり合う藤澤の存在感がある。

若井は単音で、終始面白い音の運びを聴かせてくれる。
ストリングスも心を撫でるように溶け込んでくる。
各楽器の醸し出す音が、息を合わせる一体感。
音遊びのような戯れのような、美しい音の世界がひしひしと伝わってくる。

しゅわしゅわな風きたぷち。

🍷 ブレイクの魔法


さりげないドラムフィルから、ドラムブレイク。
空間が一瞬、ぴたりと止まる静寂。
そこに若井のギターが一発。
「ちゃららーーーん」
視界が開けた合図のように、この音で大森は安心して歌に入る。

なんのせいでもないよ~
リムショットがリズムを刻む。
実に優しく、柔らかく、時間を抱きしめるような刻み方だ。
ただ正確に刻んでいるのではなく、わずかにジャストのタイミングより後にずらしている。
今まさに、感覚で歌と同化している。

ステージ中央を歩きながら、大森自身も体で歌を表現している。
一音一音が身体を通って放たれていくのがわかる。
ステージでは、各楽器と共に音が一体化している。
分離したパートという概念などなく、ひとつの波となる。
頻繁に入るブレイクも、息を吸うように歌の一部として存在している。
メロディとしてのブレイクの使い方は、ほんとうに絶妙だ。

音が完全に切れていないように感じるのは、歌にかかったエフェクトが、わずかにブレイクに残っているからかもしれない。
音として切り離して考えるならば、その鳴りの源を探ればいい。
けれど、ここはそうではない。
このブレイクがあるからこのメロディがある。
このメロディこそ、鳴りの本体であると感じる。

🍷 グルーヴの魔法


泡のように~
大森は椅子に座る。
でも、その姿から「落ち着こう」なんて気配はまったく感じない。
むしろ、さらに深く、音の中心へと降りていくような気配がある。

そのまま力強く歌い、高音はまるで鳥のさえずりのように、天井へと伸びていく。
マイクを両手で握ったり、指先を添えてみたり、その仕草ひとつひとつが、音と一緒に感情を運んでくる。

こでもバスドラの存在は大きい。
16分で浮遊感を漂わせながら、スネアでリズムの芯をしっかりと立ててくる。
そのリズムと大森の歌声が混ざり合い、不思議な感情がこみ上げてくる。

心地のいい世界に運ばれていく中で、心だけが動けなくなる。
気づかないうちに目が涙に占領されてしまう。

若井のギターフレーズも、どこまでも浮遊している。
地に足をつけているのは、ベース。
土台を崩さず、しっかりと支えてくれている。

どの音も主張することなく、それぞれのバランスを保っている。
そのグルーヴをまとめ上げているのが藤澤だ。
藤澤の音が、少しずつ色を帯びて、音量と音数を重ねていく。
楽曲を表現する音のアプローチ、自然と浮かび上がるセンスの良さを感じる。
そして、曲はすこしずつ厚みを増していく。

涼ちゃんまるの音粒拾うの妖精の常識ぷちっ!
なもさんも集めてるぷちか?!

🍷 動き出す物語


間奏がはじまり、音の数が増えていくと同時に座っていた大森が立ち上がる。
それに合わせるように、若井のギターが炸裂する。
音がひときわ大きく膨らみ、空気を震わせる。

ドラムの華麗なタムのフィルが入り、次の展開へと物語が移る。
風が一気に吹き抜けるような感覚。
その場面、大森は「う、お、ふ、は、ふぉ」などの音でなんとベースとユニゾンしているではないか。
風で舞った葉が静かな水面をクルクルと回るような、当たり前のようでふしぎな光景。
ベースもまた、自然な流れでそのフレーズに寄り添っていく。
まるで会話を交わすように音がステージを漂っている。

🍷 グラスの魔法


ブレイク明け、力強いドラムのリズムに切り替わる。
2つ目のスネアは拍をずらしながら、タムを絡めて3〜4拍にかけてリズムを作ってくる。
ベースはそのリズムに合わせるように、ぴったりと寄り添ってくる。

そんな中、観客の視線をすり抜けて若井がステージ中央へ歩き出す。
中央には大森が立ち、マイク片手に歌っている。
その大森に、若井は、スッとグラスを差し出す。
大森は、ちょっと驚いたような笑顔でそれを受け取りながら、歌を続ける。
「なぜこのタイミング…?」
観客がくすっと笑ってしまうようなシーン。
若井がつくったこの奇妙な「間(ま)」を大森自身も楽しんでいるように見える。

わぁぁぁ!若井まる…なんか合図みたいにグラスを?!なんで今なん??

若井は右手を大きく大森の方へ向けて「これが大森だ」とアピールするかのような仕草。
その後ろ姿には、満足そうな笑みが見える。
動けない心がすっと動き出すような若井の不意のブレイクは、大森の歌声をよりクリアに響かせたてくれた。

描いて見せてよ
間奏へ入る。
歌い終えたその瞬間、グラスを口に近づけて、一口。
そしてグラスを後方の台にそっと置く大森。
また柔らかな音の波に漂う。
ただ、若井がまた動くのではないかと少し気にかけながら…。

後に気づいたことがあるので、ここに追記をする。
若井がグラスを差し出した意味だ。
この曲「soFt-dRink」はきっと注がれていたのだろう。
「透明なグラスに満ちる音」の象徴だったのではと考える。
あの一瞬の間(ま)、あの仕草も、小ネタやお遊びではなく「ライブ全体の魔法のイメージを結晶化させる仕掛け」と解釈すれば断然面白い!
透明なグラスに注がれていたのは、音そのもの。
ちゃめっけを含んだ見事な魔法の演出だったのかもしれない。

ちゃめっけだけなら、ろろんも負けへんけど…。
若井まるの魔法、最高やぁぁぁぁぁぁ!!!

🍷 リズムと感情


間奏が終わったその瞬間、大森は、はじけるようにステージ正面を向き、強く、真っ直ぐな声を放った。
泡の様に脆く全ては去って 甘味の様に時には笑ったって~
ステージに熱が駆け抜ける。
テンションは一気に最高潮へ。
空気が、一瞬にして「何か」に変わっていく。
それは痛みじゃない。
何かが満ちる、あたたかさに近い衝動のような…。

ドラムは、大きく、ゆったりとしたシンプルなリズム。
そのゆるやかな「間(ま)」が、逆に感情を押し上げてくる。

ベースは少しずつ歌に絡みつき、音数が増えていく。
増した音は歌を邪魔するわけでなく、むしろ、包むように支えている。

炭酸の様な青春は
さらにテンションが上がる。
ベースのフレーズが、クールさを際立たせている。
音数は確実に多いのに、ひとつひとつの音に「理由」がある。
そのすべてが歌に寄り添い、唯一無二の存在になっている。
スネアのアクセントにもぴったり合わせて、フレーズごとの音のメリハリが抜群だ。

いつかは酸化して~
このメロディが響くたびに、背中に鳥肌が立つ。
テンションは完全にマックスのその先へ。
ドラムも、歌のアクセントをやわらかく支えつつ、要所でフィルを絡めてくる。

大森の歌は、さらにのびやかに、目を閉じて今この時間をまるごと抱きしめているかのようだ。
その後、にこやかに、そして満足げに、ステージ中央前方から、ステージ上をゆっくりと見渡す。
音を全身に浴びているのは大森だ。
管楽器、弦楽器、それぞれが静かに、でも確実に仕上がっていく。
ステージの音はもう、完成された魔法陣になっている。

カメラが藤澤をアップでとらえる。
その表情はやわらかく、にこやかで、心から満たされているようだ。
若井にカメラが移る。
こちらもまた、ギターを奏でるその手が、まるで風と遊ぶように、自由で心地よさそうだ。

そして大森。
中央で、指揮者のように両手を広げる。
ステージから、観客から、無数の光の矢のようにエネルギーが大森に向かう。
その放射のすべてを、大森はステージ中央でまっすぐ受け止める。
共鳴したエネルギーは、循環するかのように会場全体を包み込んだ。

うわぁぁぁ!涙と鳥肌が同時にきたもぉぉん!!

「ありがとう」
一瞬で解ける魔法のような時間。
この一言で、曲は静かに終わったが、その余韻がなおも続いている。

🍷 魔法の器に注がれた音


Harmonyというステージ自体が、特別な空間だ。
ステージでは、これまで耳にしてきた曲たちが次々と姿を変えて現れる。
「soFt-dRink」も例外ではない。

曲が終わったあとのその余韻までが楽曲の一部として体感した。
音の波は、幾重にも連なり、押し寄せては、すっと消える。
クリアな泡がパチンッとはじけるような注ぎたての冷えた炭酸を味わったようだ。

泡みたいに消えていくのに…心には残ってるんだもん。

Harmonyのようなスタイルのライブは、実に味わい深い。
気持ちや演出だけでは決して成り立たない。
必要なのは、楽曲そのものの強さ、演奏の確かさ、音を結びつけるグルーヴ。
その完成度の高さがあって初めて、ひとつの世界が形を持つ。
だからこそ、これはミセスだからできるステージなのだと、改めて強く思う。

無くてはならないものがそこにはある。
そしてミセスは、その確かさの上に、さらに魔法をかけてくるのだ。

その魔法を記録するのがこの魔法録ぷち。

ぷち、なんかうまいこと締めたんちゃう?

A magical record drawn from a captured moment.
『soFt-dRink 』 ― Harmony 2024
Mrs. GREEN APPLE
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【ぷちの観察日記】
魔法録のURLが、まるたちの知らないXアカウントのプロフィールに記載されているみたいぷち…。
魔法録のアカウントは @rolon_pichi だけぷち。
ほかは魔法録とは関係ないぷち。ぷち、しらんぷち。
あやしい風に、気をつけてぷち。(ぷちより)
    🍃 これまでの観察日記は妖精のあしあとにあるぷち。
まる
《soFt-dRink 》の考察、楽しんでもらえたもん?
もっと旅したいなら森の秘密基地 でほかの音の景色を探してだもん。

迷ったら、魔法の地図 をひらいて、道を探してみるといいもん🌿
魔法の地図